上映作品
松本俊夫監督 Avant-garde 短編映像集
上映スケジュール
2024/1/22(月)〜2/4(日)
[1/22〜28]14:50~16:25
[1/29〜2/4]14:30~16:05
料金
1400円
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
西陣
織工の苦しい労働問題と古い街に根付いた伝統の絡み合いを題材とした記録映画であり、当時、松本が提唱していた前衛記録映画の実践といえる作品。記録映画につきまとう解説は否定されており、詩と反復される苦しい労働のイメージが観客の無意識に働きかける。京都で活動していた「京都記録映画をみる会」の上映運動を基盤として自主製作された。本作の演出は社会主義リアリズムの考え方に対立するものであり、松本も深く関わっていた当時の左翼記録映画運動のなかで激しい論争を引き起こした。共同脚本は詩人の関根弘、作中で能を舞うのは観世流の能楽師である観世榮夫。撮影監督は東宝争議に関わり、当時の映画界で「天皇」と呼ばれていた大物カメラマン宮島義勇である。
1961年/日本/25分10秒
脚本:関根弘・松本俊夫
演出:松本俊夫
撮影:宮島義勇
能舞:観世栄夫
語り:日下武史
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
つぶれかかった右眼のために
1968年に草月会館ホールで開催されたイベント〈*ex・pose’68 なにかいってくれ いま さがす〉のなかで初演された作品であり、同時代のドキュメントを3台の映写機を用いて上映するマルチプロジェクション作品として構成された。左右に並べられた2台の16mm映写機によるプロジェクションに、中央に配置された35mm映写機による一回り大きなサイズのプロジェクションを重ね合わせる形態をとる。作中では、制作中に発生した金嬉老事件や、王子野戦病院設置反対デモにおける学生と機動隊の衝突、ゲイボーイの生活などのドキュメントが多層的に重なり合って展開し、時代の混乱をそのままスクリーンに出現させる。初演時には画面が停止すると同時に、スクリーン周辺に設置された多数のストロボが発光するというハプニング的演出も取り入れられた。音楽は、音楽評論家の秋山邦晴による様々な音源のコラージュである。
1968年/日本/12分10秒
脚本・監督・編集:松本俊夫
出演:ケイ子、青目海
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
エクスタシス=恍惚
『薔薇の葬列』のために制作された実験映画であり、後に独立した作品として再構成された。首を左右に振って恍惚を身振りで表現するエディ(ピーター)、手を広げて観客へ迫ってくるゲバラ(内山豊三郎)、これらのショットのミニマルな反復によって、観客の意識をトランス状態に導く。『薔薇の葬列』の劇中では、フーテンたちのドラッグパーティーの場面で上映される。
1969年/日本/11分10秒
製作・脚本・監督・編集・音楽:松本俊夫
出演:ピーター、内山豊三郎
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
エクスパンション=拡張
松本は、『メタスタシス=新陳代謝』(1971)を制作するにあたって、映像機器メーカーであるナックが開発した電子的な画像測定器カラー・データ・システムを、実験映画に転用することを思いつく。これは明暗のグラデーションを、10段階の濃度に応じて任意の色に置き換える機能を持った機器である。その後も松本は同機材による電子的な映像表現に取り組み、その発展形として本作を制作する。作中では素材として『エクスタシス=恍惚』と、日本万国博覧会せんい館のために松本が制作した『スペース・プロジェクション・アコ』(1970)が引用される。音楽は、現代音楽家の一柳慧によるサイケデリック・ロックである。
1972年/日本/14分10秒
製作・脚本・監督・エレクトロカラープロセス オペレーション:松本俊夫
出演:ピーター、内山豊三郎、松岡志記子
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
モナリザ
東洋現像所(現イマジカグループ)に導入されたばかりの、当時最新の映像合成装置であったスキャニメイト(Scanimate)を使用して、モナリザのイメージを電子的に加工した作品。作中では素材としてモナ・リザのほか、『スペース・プロジェクション・アコ』が引用されている。松本は、当時テレビコマーシャルの仕事も多数請け負っていたが、そこでもスキャニメイトを活用していた。1974年にニューヨーク近代美術館で開催されたビデオアートのカンファレンス「Open Circuit」のなかでも上映された。
1973年/日本/3分
製作・脚本・監督・音楽:松本俊夫
©︎Postwar Japan Moving Image Archive
青女
本作は台詞のない詩的な短編劇として構成されており、全編で赤外線フィルムが使用され、奇妙な色彩の異化効果が生み出されている(松本は同時期の『ファントム=幻妄』『アートマン』でも同様の赤外線フィルムを使用した)。また、『フライ=飛ぶ』『アンディ・ウォーホル=複々製』でも試みられた、コマ伸ばしによる運動の緩慢化の演出も取り入れられている。これらの手法により、作中では白昼夢のように非現実的な空間と時間が表現されている。映画は森を彷徨う一人の少女の登場によって始まる。少女は森のなかの湖にたどりつく。湖を見つめる少女。突如、少女は何かから逃れるように走り出してゆく。音楽は、現代音楽家の一柳慧による、引き伸ばされた楽器音による電子音楽である。
1975年/日本/28分30秒
製作・脚本・監督:松本俊夫
出演:冬木なか
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